本番の緊張は、誰にとっても避けがたいものです。どんなプロでも緊張はしていて、完全に消す方法は見つかっていません。だから最初にやるべきは、緊張を“異常”として扱わないことです。自分が緊張していると自覚した瞬間に、周りも同じだと理解すると、心理的な孤立感が薄れます。コンクールのように順位が付く場面でも、全員が何かしらの緊張を抱えています。自分だけが崩れているわけではない、と捉えるだけで、余計な焦りが減ります。緊張を自覚したら、まず息を吐いて肩の力を抜く、と決めておくだけでも効果があります。緊張は自然な反応です。
- 緊張しない方法は“発見されていない”ので、緊張しても良い前提で準備するのが現実的です。ホルンは繊細な楽器なので、緊張をゼロにしようとするほど力みが増えがちです。
- 自分が緊張していると感じたら、周りも同じだと考えます。同じ土俵なら、普段通りを再現できる人が勝つだけなので、やることが明確になります。
- 先生の言葉として「自分が世界一上手いと思いなさい」という考えがあります。根拠は“今までやってきたこと”で、緊張下でもそれを信じ切ることでパフォーマンスが最大化します。
- さらに「その時間に演奏しているのは自分だけ=その瞬間は自分が世界一」という意識は、過剰な比較を止め、目の前の演奏へ集中する助けになります。
緊張は消さず、集中へ変える
緊張を抑え込むより、集中へ変換する方が再現性が高いです。具体的には、呼吸や姿勢など“いつも通りに戻す操作”をルーティン化します。考え方の軸は2つ。「みんな同じ」と「その時間は自分が世界一」です。前者で孤立感と焦りを下げ、後者で視点を外から内へ戻す。ここまで整理されていると、緊張そのものは残っていても、やる行動が明確になり、体の動きが普段に近づきます。ホルンは小さな力みが音に出るので、緊張の波が来たら“考え方”ではなく“呼吸と姿勢”に戻すスイッチを持っておくことが重要です。短い合図を決めておくと戻りやすいです。
練習のステップ
- ① 本番で緊張する場面を想定し、「みんな同じ」と言い換えるフレーズを決めます。
- ② 息を整えるルーティン(深呼吸→肩を落とす→座骨で座る等)を固定します。
- ③ 通し練習で緊張が来た“ふり”をして、ルーティンで普段に戻る練習をします。
- ④ 本番当日の流れ(会場入り〜出番まで)をルーティン化し、迷いを減らします。
まとめ
本番の緊張は消せない前提で、集中へ変える設計を持つことが重要です。「みんな同じ」と捉えて孤立感を減らし、「その時間は自分が世界一」と考えて比較を止める。さらに呼吸と姿勢のルーティンで普段の動きを呼び戻す。これらが揃うほど、緊張下でもホルンが普段に近い鳴り方になります。本番前にルーティンを決めておけば、緊張のたびに考え直す必要がありません。結果として呼吸が止まらず、普段の鳴りが出やすくなります。出番直前の数十秒でやる動きを決めておくと、思考が散らばりません。練習から同じ流れでやると、本番でも再現しやすくなります。